「兎羽?凪に何か言われた?」


「い、いえ…。」


このまま古坂さんのことを考えてぼんやりしてたらレオ先パイに失礼だと思い、一旦古坂さんのことを忘れることに決めた。




気を取り直してレオ先パイの方を見て、絶句してしまった。



私の着ている浴衣と同じ色合いの帯と、濃紺の浴衣。


どう見ても私とお揃いにしたとわかる浴衣を着たレオ先パイは、美しすぎた。



かっこいいと言う言葉よりも、美しいとか綺麗だとかが似合う完璧な姿。




「兎羽?瞳を真ん丸にしてどうしたの?」


レオ先パイは、私にだけ見せてくれる優しい表情で、少し首を傾げてくる。




ダメだ。



私、こんな完璧な人の隣で文化祭なんてまわれない。




「どうして少しずつ離れていくの?」



「先パイとまわるなんて無理…。」


「どうして?

 俺は兎羽と一緒に文化祭デートしたいな。」


ジリジリと逃げようとしていたけれど、レオ先パイはすぐにそれに気づいて距離を詰めてくる。



…そもそも手を繋がれているから、逃げられる訳ないんだけど。