「いえいえ。

 あ、そういえば名乗ってませんでしたね。

 私、玲旺様の付き人をしております、

 古坂凪(こさか なぎ)と申します。」



付き人…!?



レオ先パイがお金持ちなのは知ってる。


知ってるけど…。




「…さぁ、玲旺様がお待ちです。」


驚いている私に微笑んで部屋から出るのを促してくれる古坂さん。




更衣室から出る瞬間、私は振り返って再度お礼を言った。


「いえ、玲旺様が望まれたことなので…。

 ただ、これだけは言わせてください。

 私の方が貴女より早く玲旺様をお慕いしておりました。」


お慕い…って、レオ先パイを好きだって事?



聞き返そうとしたけど、待っていたと思われるレオ先パイに手を引かれてしまって、何も言うことができなかった。





「兎羽、浴衣似合ってる。かわいい。」


レオ先パイの声が聞こえるけど、それどころじゃない。



古坂さんの強い意志を感じさせる瞳が忘れられない。