「え…?」
さっきまで無表情だった風越さんがふんわりと笑った。
ううん、笑っただけじゃない。
恋人を見てるとは思えなかった無機質な瞳が、まるでレオ先パイが私のことを見る時のように柔らかく甘ったるくなった。
「咲雪…。」
つぶやくように名前を呼ぶ風越さんの声も、さっきと違う熱を含んだもの。
照れるように笑った咲雪さんは、ちらりと一瞬私の顔を見た。
そしてすぐに風越さんの方へ視線を戻すと、おもむろに自身の右手を風越さんの頬へと差し出した。
まるで猫が飼い主に甘える時のように、風越さんは咲雪さんの右手に擦り寄る。
甘い甘いピンクのオーラが、これでもかとばかりに放たれている。
「諒くん、大好きだよ。」
「あぁ…。オレも咲雪が大事。」
風越さんは咲雪さんの額にキスを落とした。