夏休みが明け、校内が文化祭で彩られる季節になった。
秋里学園高校は、9月中旬に文化祭を行う。
周りの高校の文化祭とは日にちが被っていない為、たくさんの人が訪れる。
「兎羽、カウントダウン看板変えてきてくれる?」
「はーい。」
校門付近に設置してある看板まで行き、ぺらっとページをめくる。
文化祭までもうあと3日かぁ。
私が担当している校内装飾はすべて完成していて、通常授業の邪魔にならない装飾を随時設置していってる状態。
文化祭前日は丸一日文化祭準備にあてられるから、その日に一気に設置することになる。
「戻りましたー。」
「おかえり。
じゃあ進捗状況を確認する。」
生徒会室のいつもの席に座り、レオ先パイの方を見る。
カウントダウン看板の所へ行っている間に他の生徒会の人達が集まってきたようで、全員が指定席に座っている。
…とは言ってもみんな忙しそうにプリントを弄っていたりペンを走らせたりしている。
「校内装飾と作品展はあと前日のみだからいいとして…。
掲示監督は?何かあった?」
「ちょいちょい規定違反されるけど
言えばすぐに対応してくれるから問題ねぇよ。」
「有志企画は?」
「最終チェックなうって感じ〜。
明日ステージ使うとこのリハするよん。」
「ステージ使用しない所は俺も一緒に確認するから教えて。」
「はいよー。」
レオ先パイがどんどん確認していく。
全体を把握しなくてはならないのはレオ先パイだけだから、私は聞いても聞かなくてもいい話。
あ、そうだ!
生徒会の活動を記録する仕事しよっと。
ロッカーからノートとプリントの山を取り出して仕事を始める。
私は字を丁寧に書こうとすると、集中しすぎて周りの音が頭に入らなくなる。
だからレオ先パイ達が確認をしている声も全く聞こえなくなった。