少し経っていい匂いと共にオムライスとカルボナーラがやってきた。


「温かいうちに食べようか。」


「はい!」


「「いただきます。」」


ふわとろなオムライスを頬張る。



美味しい…!


ぱくぱくと食べ進めていると、レオ先パイの手が止まった。



「…?

 どうかしたんですか?」


「一口ちょうだい。」


レオ先パイはあーん、と無防備に口を開ける。



なんか…既視感が……。


林間のおみやげのクッキーでもこんな感じのことあった気が…。




「しません。

 食べたかったら自分でどうぞ。」


わざとツンとした態度を取る。


オムライスをレオ先パイの方へ押し、スプーンを渡す。



「つれないなぁ。

 まぁ、どんな兎羽でも好きだけどね。」


結局レオ先パイは自分で一口オムライスを食べた。



「兎羽もカルボナーラ食べる?

 好きでしょ?」


「いいんですか?」


やったー!と心の中でつぶやきながら、一旦オムライスのお皿を横へどける。




「ふふっ。

 満面の笑みになっちゃってかわい。」


「かわいくないです。」



「たまんないなぁ。

 ムキになって睨もうとしても、

 ほっぺ上がったまんまだよ?」


くすくすと楽しそうに笑うレオ先パイ。



「はい、あーん。」


そしてフォークに巻きつけられたカルボナーラを差し出してくる。


「自分で食べます!」


「ダーメ。ほら、あーんして?」


優しく微笑んで少し首を傾げてくる。


いつもと同じ、甘い甘い瞳。




は、恥ずかしい…!


こんな拷問、いつの時代の人が考えたの!?



「兎羽、早く口開けてよ。」


「うぅ…。」


いつまでもフォークを差し出させる訳にもいかず、仕方なく差し出されたカルボナーラをぱくっと食べた。




お、いしい…けど、恥ずかしくていつもより味がわからない。


「へぇ。

 あーんって結構良いものなんだね。

 照れる兎羽、すっごくかわいい。」


「ほんと、やめてください…。」


ご機嫌のレオ先パイと、へろへろの私。




きっと私の顔は赤いままなかなか元に戻らなかったと思う。