「歩かせちゃってごめんね。
さすがに狭い路地には車で来れないからさ。」
「い、いえ…。」
レオ先パイお気に入りのカフェとやらは病院から結構離れた位置にあったらしく、長い時間車に乗せられた。
そして細い道を通り、小さな看板が出ているお店についた。
カランコロンッ。
ドアに取り付けられているベルが鳴り、店員さんがやってくる。
「いらっしゃいませ〜。
…あれ?えっと、もしかして…。」
「お久しぶりです、美冬さん。
真木玲旺です。」
「お名前すぐ思い出せなくてごめんなさい。
この子は…?」
「俺の特別な人です。
美冬さんもそうなれたんでしょう?」
「え!?
つづるさんに聞いてるんですか…?
恥ずかしいなぁ。」
すごくかわいい店員さんと会話をするレオ先パイ。
さらりと私のことを特別な人って紹介する辺り、レオ先パイらしいなぁ。
照れというものは無いのだろうか。
「カウンター席とテーブル席、
どちらがいいですか?」
「今日は彼女がいるので、
テーブルでお願いします。」
「かしこまりました!
こちらのお席でお願いします。」
案内される時にお店を見渡したけど、決して広いとは言えない店内だった。
どうしてレオ先パイはわざわざ遠いこのカフェに連れてきてくれたんだろう?
正直、レオ先パイはお金持ちだって言うし、もっと高級なディナーを好んで食べているんだと思ってた。
メニューを見ても良心的な金額設定だし、何を意図してここを選んだのか本当にわからない。



