「っ…!
何でもいいから、マサとリヒトで回して。
他はフォロー入って。
こっちが落ち着いたらまた連絡する。」
急に早口になったレオ先パイ。
胸元のマイクのボタンを押していた手が動いたと思ったら、そのまま私の左肩を掴んでぐいっと引っ張られる。
ふいにやられた為に踏ん張ることができなくて。
とさっとレオ先パイの胸の中に倒れてしまった。
慌てて離れようとしたけど、レオ先パイがしっかりと腕を回して抱きしめてくるから、動けない。
「兎羽、自分を追い詰めないで。」
ゆっくりな聞き取りやすい声が耳元に降ってくる。
なんで私、抱きしめられてるの?
というか、自分を追い詰めるって何の事…?
よくわからないことばかりだったけど、背中を優しく撫でてくれるのに安心して、つい腕をレオ先パイの背中にまわしてしまった。
「…その反応は予想してなかったなぁ。
俺が兎羽をなだめるはずだったのに、
これじゃあ俺がなだめられちゃってるよ。」
苦笑まじりの声が聞こえたと思ったら、すっとレオ先パイが離れた。
「兎羽。もっと俺を頼って。」
「…頼りまくりです。」
「ううん、まだ足りない。
全然足りない。」
レオ先パイの手が、私の頬に当てられる。
「兎羽は俺の特別なんだ。
自分を大切にしてよ。」
私は、レオ先パイの特別。
わかっていたようで全くわかっていなかったその事実に、つい顔が反応してしまう。
じわじわと身体が熱を帯びるのがわかる。
「…え?」
目の前にいるレオ先パイが少し目を見開いた。
「ど、どうかしましたか?」
恥ずかしいのを隠そうと、無理矢理言葉を発する。
「いや、兎羽がいつもと違う反応をするから…。
ってこんなとこで立ち話してる場合じゃないか。
おいで?」
レオ先パイに促されるまま、校門の方へ向かう。