願いを込めて

そうやって化け物の事を気に掛けてくれる蓮の顔もまた、真っ青で。



「ごめん、飲み過ぎたかも…。蓮こそ大丈夫?後で輸血して鉄分取ってね、ちゃんと」



傍から聞けば明らかに可笑し過ぎる台詞なのに、



「僕は大丈夫。…そんな事より、本当にさくらが僕の血を飲むなんて思ってなかった」



私は、自分の口の周りについた彼の血を拭きながら頷いた。



「これで、絶対に蓮の病気は治るから……。私と別れてもいいから、それだけは信じて欲しい」



ああ、気持ち悪い。



もう吐きそうで吐きそうで、焦点が合わなくなってきている私に、彼は特大の愛の台詞をぶつけてきた。



「そうやって言ってくれるだけでもありがたいよ。…僕は、本当のさくらが僕の知らないさくらだったとしても、大好き………愛してるよ」



(あっ、………)



今口を開けたら、絶対にやばい事になる。



それでも、私は必死で口元までせり上がってきたものを飲み込み、ゆっくりと口を開いた。



「……私も、…大好き」




1つのベッドの上で寄り添う2人を、窓から差し込んだ夕焼けの赤い光が照らしていた。






それから約1ヶ月後、すっかり病状が回復した蓮に一時退院の許可が出て、私と一緒に笑い合いながらデートをした事は、また別のお話。