『俺の』……何?
結局、その続きは聞くことができないまま。

車が主任の家について、ちょっぴりいけないことをしているような気になりながらも、促されて家に入る。
お泊まりセットと共に。

「立ってないで座れよ。……ほら」

手を引かれ2人並んでソファに腰掛けた。

「気分はどうだ?もう、平気か?」

やっぱり今日は優しい気がする。
さっきの甘いカフェオレを思い出した。

「はい。もうすっかり良くなりました。主任のおかげで」

お礼を言いたかったのに、言えなくなった。
その代わりに唇に与えられるのは柔らかい感触。
ソファに押し倒される形になり、そのまま抱き締められた。
軽く唇が触れ合ったままで、主任の言葉を聞く。

「今日は女同士だとばかり思っていたら、男から電話かかってくるし」

え、それって迫田さんのこと?

「ご、ごめんなさい……」

この状態、すごく喋りにくい!

「俺に謝らなければならないようなことでもあったのか?」

急に離れた唇を名残惜しく見てしまうけど、ここは否定しておかないと。

「ちっ違います!迫田さんが来るなんて聞いてなくて……あっ……」

言い訳の途中なのに、服を脱がしにかかる主任。

「あっ、あの、主任?」

「俺をイラつかせた罰だ。今お前の口から他の男の名前なんか聞きたくない。俺の気持ちも知らないで」

だっだからって、こんな場所で……!

「だって主任が言わせたんじゃ」

「可愛いげのない反論するなら黙らせるぞ」

私の唇はまたしても主任に塞がれてしまい、呆気なく降参するしかない。
だけど、このまま流されるのもどうかと必死に逆上せ始めた頭で考える私。

このリビングのソファーではやはり落ち着かない。
しかし主任はキスをやめようとしないし、袖を抜かれたワンピースは腰まで落ちて上半身はキャミソール姿を曝している。