「いろんな事を知ったし、祭りの疲れもあるだろうから、今日は

 もう寝ようか。」

翡翠は、私が黙り込む様子を見て、知らないうちに妖狐にされて

しまったことでショックを受けているのだと思っているのだろう。

正直、妖狐になることに驚きは隠せないが、翡翠と同じ妖狐になるの

なら、翡翠と一緒に居られるのなら・・・

そんなことは、どうでも良かった。

ただ、翡翠の私に向ける優しさが、大事だと言ってくれたその言葉が

ただの責任感、いや罪滅ぼしのような気持ちからだったのが堪らなく

ショックだった。

気持ちがどこか定まらないようにボーっとする私を、翡翠はその腕の

中に包み込み眠ってしまった。

いつもは幸せを感じていた腕の中も、今日は胸の中に苦しみを募らせる

だけだった。