少し気持ちを落ち着かせて、お手洗いから出ると翡翠が立っていた。

「遅いぞ。・・おい、その頬はどうした?」

「・・・殴られた。」

「ハッ!誰にやられた!」

「桜さんていう人に・・・翡翠と別れろって・・・」

「許せね・・・。瑠璃、今日はもう帰ろう。」

「うん、ゴメン。私も帰りたい」

翡翠は鴇君を呼んで先に帰ることを伝えると、呼んでいた車に私を乗せ

マンションに戻った。

「湯川の桜さんは、どうにかするから心配するな」

「・・・うん」

「なんか他にも心配することがあるのか?」

「桜さんは、私は会社にプラスにならないマイナスだって・・・」

「馬鹿だな・・。会社は大丈夫だ。俺は、瑠璃と一緒にいたくて

 妖狐にまでさせたんだぞ。俺を信じろ。」

「うん、そうだよね。」

「ただ、あの桜さんは何かしてくるかもしれないから、くれぐれも用心

 してほしい。心配なら、鴇をつけるか?」

「そこまでは大丈夫だよ。気をつけるから、心配しないで」

「分かった。でも、何かあれば直ぐ連絡しろよ」

「うん」