「あなた、本当に翡翠さんと婚約したの?」

「はい、そうですが」

「あなたと翡翠さんじゃ釣り合わないでしょ。会社のマイナスには

 なってもプラスにはならないわ。その点、私なら会社の助けになるの。

 あなた、邪魔よ。いなくなってくれない。」

「なんで、そんな言われないといけないんですか?」

「元々は私が婚約者になる予定だったのを、あなたが急に割り込んで

 きたの。ホント、身の程知らずな子ね」

「私は何と言われようと、翡翠の側から離れませんから」

バシッ!

は!?私の左頬がジンジンする。

「いい、早く翡翠さんの側から離れなさい。

 じゃないと、タダじゃすまないんだから」

そう言って、桜さんはその場を去っていった。

鏡を見ると、左の頬が赤く染まっていて、思わず目から涙がこぼれてきた。