秘密のリップ

先輩の隣にちょこんと座る。

ああ。

言葉にできない程に安心する。

この時のために生きてるって感じだ。

「もっと近くに寄りなよ」

私が先輩の隣を満喫していると、先輩が腰に手を回して言う。

「部活終わりだから...」

もっと近くにいたいけど、汗かいてるし...。

というわけで、私は先輩のお誘いをお断りした。

しかし、先輩は諦めようとしない。

私はくっつきたい気持ちをぐっと堪えて、再度断るために口を開こうとすると...

「だーめ」

先輩の人差し指が、私の口を塞いだ。

私はその行動に驚き、先輩の顔を見る。

先輩は、頬を赤らめ、子供のようなしかし真剣な眼差しで私を見つめていた。

その表情はやけに色気付いており、私は彼の純粋無垢な瞳に飲み込まれ、言葉を失いそうになる。

でも、それで嫌われちゃったらどうしよう...。

そんな不安が脳裏をよぎる。

私は唇に置かれた指を払い、口を開いた。

「私......今日は汗くさいから...」

「そんなことはない。いい匂いだよ」

先輩は微笑み、私の体をにぎゅーと抱き締めた。

汗のにおいと混じった先輩は、ちょっぴりえっちな匂いがした。