理科室のような匂いがするひと部屋だけの薄暗い室内だ。壁一面に大きな箪笥が一つと天井から干した草のようなものが沢山ぶら下げられている。床には薬を調合するための道具らしきものが散らばっており、たったひとつの座布団の上にはみくりが丸まっていた。
「適当にすわり」
そう言われて私たちは戸惑い気味に腰を下ろす。仁吉さんは無言でお茶の用意を始めた。
「……ねえ、麻。仁吉さんって三門さんとどういう関係?」
「わかんない。知り合いみたいだけど……」
みくりとふくりとは同じ年に生まれた仲だとは聞いている。ふくりが一方的に仁吉のことを嫌っていて、そして結守の土地から“追放”されたとも。
追放になるなんて、一体何をしたんだろう。
盆に湯飲みを四つ乗せた仁吉さんが戻ってくる。面倒くさそうな顔をしながらも一応は歓迎してくれているらしい。
「ほんで、なんで子供四人と狐一匹でこんなところまで来とるんや? 今の代の神主はそこまで馬鹿じゃないと思うてたけど」
「三門さんを悪く言わないでください。みんな俺のためにしてくれたんだ」
富岡くんがそう言えば、仁吉さんはたいして興味がなさそうに「ふうん」と相槌を打っってお茶を啜った。なんだか気まずい雰囲気が流れて、隣の詩子と目を合わせる。
深い溜息を吐いた仁吉さんは頭をガシガシとかくと立ち上がった。
「あー、もう。診たるから、他の三人はしばらく外におり」

