「麻、この人と知り合い?」
「う、うん。前に裏山であったことがあるの。おとら狐っていう妖」
「妖!? 見た目、人間じゃんっ」
目を丸くしてまじまじと仁吉さんを見つめる詩子。仁吉さんはちっと舌打ちをすると私たちを見下ろして深い溜息を吐いた。
「黙って聞いとったら、えらい好き勝手失礼なこと言うてくれはりますな。お嬢さん」
びくりと肩を震わせた詩子は震えた声で謝って私の背中に隠れる。
「こんなガキンチョ四人もよこして、三門は一体何を考えとるんや? 面倒ごとならごめんやで、とっとと帰って乳飲んで寝え」
しっし、と犬でも追っ払うように手を振った仁吉さん。そんな言い方、と声を荒げたその時、
「……患者さんです」
雪ちゃんが富岡くんの手を引いて前に出た。
はあ? と富岡くんを上から下までじろりと睨むと、くるりと背を向け中に入っていく。しばらくして中から「はよ入り」と声がかけられ、私たちは顔を綻ばせた。

