そういって肩を竦めた健一さんに小さく笑った。
たしかに三門さんなら絶対に言わないだろう。
「ありがとうございます。健一さんがいなかったら、できなかったことだから」
「俺はそんなに優しくねえよ。ほら、時間がねえんだからさっさと行ってこい。面は絶対に外すなよ」
社を出るときに借りた狐面の紐を今一度強く縛り直した。詩子と雪ちゃんも同じような面をつけている。“迎門《げいもん》の面”と呼ばれるらしいこれは、幽世で私たちの正体を隠してくれるのだとか。
振り返って三人の顔を見た。皆少し緊張しているのか強張った表情だ。きっと私も同じ顔をしている。
「俺のせいで変なことにつき合わせてしまうことになって、ごめんな」
「何言ってんの! むしろ妖怪の世界に行けるなんて、胸がどきどきする! ちょっと怖いけど、でも大丈夫だよ」
詩子が富岡くんの肩を叩いて笑った。空気が少し軽くなったところで、「よし」と小さく呟く。
「気を付けて」
三門さんが不安げに私を見つめる。三人が小さく頷いたのを確認して、門をくぐり抜けた。

