「向こうの時間はこちらとは違ってゆっくり進んでいるんだ。これはきっちり、こちらの時間に合わせてある」
お礼を言うと、三門さんは「ほんとはまだ大反対してるんだから」と眉根を寄せて私の頭を軽く叩いた。
「麻ちゃん、ちょっと」
健一さんに名前を呼ばれて、そばに駆け寄る。
「どうしたんですか?」
「ごめんな、役に立てなくて」
「え……?」
「麻ちゃんが幽世に行くつったら、あいつもかたくなになる理由を自分から話すんじゃないかと思ってカマをかけたんだけど。相変わらずの頑固野郎だよ」
健一さんは苦い顔をして頬を首の後ろを触った。
やっぱりそうだったのか。健一さんは私との約束を忘れていたわけではなかったらしい。自分から話すように仕向けたということは、健一さんは自分の口から話してほしかったのだろうか。
「じゃあ、幽世に行くぞって言ったのは」
「いや、どっちにしろ結守神社に関わる以上、一回は幽世を見といたほうがいいと思ってたし。こんな形になるとは思わなかったけど。まあ、きっかけがなかったら、あいつは絶対に行かせないと思ったからさ」

