そして金曜日の放課後、私たちは学校が終わって直ぐに社に集まった。
鬼門は裏山の中腹にある。鬱蒼と茂る森の中を歩いていると、いまにも朽ちて崩れ落ちそうな注連縄のかかった鳥居に似た門がぽつんと立っていた。それが鬼門らしい。向こう側を覗くも森が続くだけで、なんら変わりはない。
本当にこの向こう側が妖たちの世界なんだろうか。
「鬼門をくぐれば、もう妖たちの世界だ。絶対に気を許しちゃだめだからね。……ああ、やっぱり僕も一緒に」
「お前はこっちの仕事があんだろ」
健一さんに後ろから羽交い締めにされた三門さん。いつもは健一さんを制すほうの役割なので、意外な姿だった。
「今回は幽世と現世の境界までしか行かねえんだから危険な場所もない。三門よりも何十倍も強いみくりも一緒なんだ」
「そうだぞ、この私が一緒なのだ、そう案ずるな。お前はしっかりと稲荷コロッケを温めて待っておればよい」
私の腕の中でくわあと呑気に欠伸をしたみくり。三門さんは顔を顰めてひとつ息を吐く。
「麻ちゃん、腕出して」
首を傾げながら右腕を差し出すと手首にひやりとするものが巻かれた。銀色の腕時計だった。三門さんがたまにつけているのを見たことがある。

