健一さんの案はいたって簡単だった。幽世にある妖の医者に診てもらえばいい、と。
現世に住む妖の中にも医者を名乗る妖はいるが、妖の種類が多いためすべてに対応できるというわけではない。社に来る妖たちも風邪や腹痛程度なら三門さんから薬をもらっている。どうにもならない時だけ医者へ行くのだとか。
だから幽世にいる雪童子に詳しい医者に診てもらえばいい、ということだ。
「そもそも、こちらから幽世へ渡る鬼門は普段閉ざされているんだよ。決められた日以外、よっぽど特別なことがない限り絶対に開けてはいけない、先代の神主たちがそう決めてずっと守ってきた」
「あのなあ、“実家に帰省したい”って理由だけでほいほい門を開いているのはどこのどいつだ? 幽世の医者に行きたいって理由の方がよっぽど正当だ」
呆れたようにそう言った健一さんに、三門さんは言葉を詰まらせた様子だった。
「お前は何で麻ちゃんが妖と接することに、そこまでかたくなになるんだ?」

