あやかし神社へようお参りです。②



 ────お前は陽の下を歩けない。大人になる前に溶けるんだよ。


 それでもいい。新しい場所で暮らす。


 ────人の記憶に妖は残らない。蛍雪が消えれば、お前との思い出は残らないんだよ。


 俺は。


 ────帰っておいで蛍雪。私たちの世界ならお前を悲しませるものはいない。お前を忘れたりしない。また兄やと一緒に暮らそう。


 分かっている。妖の世界なら、俺のことを忘れたりする人もいない。死に嘆くこともない。

 妖たちと一緒に生きるのは、人に比べたら楽に決まっている。でも、初めて人間と一緒に過ごした時、とても悲しくて逃げたくなるほど辛いことがあったのに、泣きたくなるくらい心地良かったのだ。優しくて、温かくて、幸せで。温かいということが初めて分かったのだ。

 六花に背を向けるのはこれで二度目だった。



 それでも俺は、人の傍で生きたいんだ。