蛍雪は何度も生を享けた。その度に人間の中に居場所をみつけ暮らしていた。
人の死にも立ち会った。妖の世界に居れば、六花と居れば持つことのなかった感情だって抱いた。人と同じように、苦しいこと、悲しいことも経験した。そんな中で蛍雪を支えるのは、いつも“あったかい”をくれる人間だったのだ。
人の傍で生きて、思うことはただ一つ。
人になりたい。人になって、大人になって、誰にも忘れられず、誰かのそばで一生を暮らしたい。
そんな思いを抱いて、六花が「虚しい」といった気持ちが次第に分かるようになった。
あれほど愛した人が、大切にしてくれた人が、次に生まれたときには己のことを忘れていて、この世からいなくなっていて、何も感じないわけがなかった。
胸に穴がぽっかりと開いたような虚しさが、生まれ変わるたびにひとつずつ増えていった。
最近はよく夢に六花が出てくるようになった。夢の中で六花はいつも同じことを言った。

