触れる指が柔らかく、胸がほっとした。初めて感じた、眠くなるような優しい心地が不思議で蛍雪はじっと固まっていた。
「ほら、終わったよ。行っといで」
背中を押されてやっと歩き出す。何度も振り返りながら太吉たちのもとへ戻った。
「おいちび、なに変な顔してんだよ」
「太吉、あれだれ?」
「ばかやろー、大将って呼べやい。おれのかーちゃんだよ」
「かーちゃん?」
「かーちゃんを知らないのか? 家族だよ。おれを生んだかーちゃん」
「おれはかーちゃんいないよ、家族いない」
太吉は変な顔をした。
「六花は家族だろ」
「違うよ」
「じゃあなに?」
「兄やは、おれと同じなの」
もっと変な顔をした太吉は「おまえ意味わかんない」と走り出す。

