バンッ────、と大きな音を立てて部屋の扉が開いた。弾けるように振り返り、目を見開く。
「三門さんっ!?」
かつてないほど険しい顔をした三門さんが肩で息をしながらそこに立っていた。
三門さんはまっすぐ私のもとへ歩いてくると、その両手で私の頬に触れる。
「痛い所は」
「た、大したことはなかったので、平気です」
項垂れるようにして深く息を吐いた三門さん。「良かった」と呟いた声は少し震えていたような気がした。
すこし遅れて賀茂くんが部屋へ飛び込んできた。どうやら三門さんを追いかけてきたらしい。
三門さんは私の背を押して扉へ向かう。そしてあと数歩の所で歩みを止めて、少しだけ振り向き口を開く。
「────子どもであろうとも、人ひとり殺めることができるほどの力を持っていることを忘れないように」
空気が震えるほどの怒りに満ちた声だった。私まで息を飲んだ。賀茂くんは青い顔をして立っている。
三門さんは促すようにもう一度私の背を押した。

