冷え切った目だった。軽蔑するような居心地の悪い視線。私と賀茂くんを交互に見て、すっと目を細める。
「何を騒いでいる」
「……いえ、何も」
賀茂くんの声色が心なしか硬い。それを覚らせないようにか、顔は貼り付けたように無表情から動かない。
「久しぶりに尋ねてみればこの体たらく。くだらない者たちと騒ぐほどの暇がお前にあるのか。このような場所に使わされて、本家の恥だという認識は、お前にはないのか」
賀茂くんのお父さんの口から出てくるあまりにも淡々とした言葉に、少し戸惑いを覚える。
賀茂くんは口を閉ざしたまま、感情のない目を伏せた。
関係のない私でさえ耐えがたいほど息苦しい空間だった。なぜか自分のことのように付き刺さる。だったら賀茂くんは一体どんな思い何だろうか。お父さんは賀茂くんを本家の恥だといった。そんな風に言われて、傷つけられる言葉を向けられて、何も感じないはずがないのに。
その時、部屋の扉がもう一度開いた。先ほどの女性が頭を下げながら入ってきて扉を押さえる。少し遅れて、もうひとり誰かが入ってきた。

