あやかし神社へようお参りです。②



 体の中で、何か温かいものが膨らんだような気がした。倒れた木の幹に添える手がわずかに温かい。もしかして上手くいったんじゃ、と期待が膨らむ。

 しかし折れたその部分は何の変化も見せず、同じ姿のままだった。


 「……駄目だったみたい」

 「そりゃ、昨日今日操れるもんじゃないんだから当たり前だろ」


 ズバリそう言われてしまいがっくりと肩を落とす。


 やっぱり練習しなきゃダメか。


 ひとつ大きなため息を吐いたその瞬間、静電気が走ったように全身の肌にぴりっとした感覚が走った。驚いて首をあげると、葵も何かを感じ取ったらしい、険しい顔で遠くを睨んでいる。


 「また術者だ。アイツが何かしたんだ。仲間が泣いている」


 そう言った葵が駆け出す。


 「待って葵!」


 慌ててその背を追いかけた。