三門さんは一つ笑ってから「見てて」と言うと、半紙を真ん中でふたつに裂いた。立ち上がって、『呪』と書かれた方の半分を宙に放り投げる。ふわりふわりと宙で二回揺れた半紙、その時。
「裂けッ!」
突然三門さんは怒鳴るように低く鋭い声で叫んだ。声とほぼ同時に、半紙はナイフで切り裂かれたように勢いよく真っ二つになった。
目の前の光景に言葉を失う。腰を抜かしたように畳に手をついた。
三門さんは続けて『言祝ぎ』の半紙を宙に放り投げる。咄嗟に首を竦めて身構える。先ほどと同じようなタイミングで、「裂け」と言った三門さんの声は、優しく穏やかな声だった。
そっと破くようにふんわりと真ん中で裂けた半紙は畳の上にひらりと落ちる。ばらばらになったそれを集めると、三門さんは元の位置に座った。
「試しに、一度目は呪を、二度目は言祝ぎの要素を強めてみたけど、何か違いに気が付いたかな?」
暫く考えて「────声色、ですか?」そう尋ねる。
大当たり、と三門さんは指で丸を作った。
「高く優しい声は言祝ぎは、低く鋭い声は呪を強くする。単純だけれど、言霊を扱う基本的な部分はここにあるんだ」

