私は三門さんの前に進み、腰を下ろして正座をした。不思議そうに首を傾げた三門さんは、一度筆をおいて姿勢を正す。
「聞きたいことがあるんです」
「うん?」
「……いつも、妖の記憶を見たときは────葵やケヤキの記憶を見たときは、私が眠っているときだったんです。でも昨日、私は起きたまま、かげぬいの思い出を見ました。かげぬいが言うには、私は少しの間ぼうっとしていただけだったんです」
三門さんは真剣な顔で考え込むように目を伏せる。
思い返せば、詩子のときもそうだ。あの時はまるで私が詩子の記憶の中に入り込んだかのような現象が起きていた。それもほんのわずかな時間の中でだ。少し前まではそんなことはなかったのに、こちらへ引っ越してきてから変な風に妖たちの記憶に引き込まれている。
続けてそのように話すと、三門さんはすっと顔をあげた。
「昭徳さんの封じの力が弱まってきているのかもしれないね」
「じゃあ、本来私が持っている力が戻ってきているってことでしょうか……?」
「そうだね。そう考えていいと思う」
自分の掌を見つめた。
まだ自分の力がどういうもので、どう扱えばいいのかがちゃんと分かっていない。封じられている状態ですら、人を傷つけてしまうほどの力を持っていたのだ。ちゃんと私自身で扱うことができるのかと眉根を寄せる。

