その夜、以津真天は木を飛び立った。夜空を横切り、赤々と燃えるひとつの町の上を飛んだ。
また一つの町が燃えた。たくさんの人間が死んでいる。誰にも弔ってもらえない骸があちこちに転がっている。
────なんて詮無い。
以津真天は骸の傍に降り立った。
己の中で一番古い記憶には、戦火に巻き込まれて息絶えた誰からも見向きもされない骸を、ひどく憐れむ自分がいた。何て可哀想な、なんて哀れな人間なんだろう。そう思っていた。
なぜならば自分もまた、そうして死んで、怨霊が鳥と化した妖だったからだ。そうして気が付けば、骸の傍に寄り添って、いつまで放っておく気なのだとそう鳴いて知らせていた。
けれど何度も何度も戦は繰り返され、同じ道を辿り、絶望に染まりながら息絶える人間たちを見ていると、悲しみはやがて虚しさに変わった。次第に増えてゆく骸の数と比例するように、虚無がどんどん広がってゆくのだ。

