少女は小さく息を吐いて、遣る瀬無い思いを抱えたまま木にもたれ掛かる。言葉にしようのない感情が胸の中を渦巻いていた。
父さんや兄さんがお国のために出兵したことも、兵隊さんたちのために食糧を我慢してひもじい思いをするのも、竹槍の訓練をすることも、必死になって工場で働いたのも────全部全部、妖たちからすれば、「愚かなこと」とたった一言で片付いてしまうことなのだ。私たちがどれだけ必死に頑張っても、我慢しても。
悲しいのか、腹が立つのか、よくわからなかった。ただ無性に涙が出そうになった。
以津真天はそんな少女をじっと見つめていた。

