毎晩鳴り響く警報に、眠れない夜を過ごしているのではないか、飢えをしのぐことはできているのか。一人だけ安全な所に来てしまった罪悪感が胸の中を占める。
少女は気を取り直すように己の頬を掌で挟むと、ふんと息を吐いて顔をあげた。
「ねえ、あそこにとまっている鳥も妖なの? 何ていう妖?」
少女は以津真天を指さした。
『怪鳥の以津真天。人間を哀れむおかしな妖だ』
「やっぱりあなた妖だったんだ」
少女はそう声をかけた。以津真天は羽一枚もピクリとも動かさない。
少女は肩を竦めると、「なにがおかしいの?」と声を潜めて尋ねる。妖たちは悪びれる様子もなく口々に好きなことを言った。
『人間の死体に寄り添って、“死体をいつまで放っておくんだ“と鳴くんだよ』
『“いつまで、いつまで”って』
『人間を哀れんだって仕方がないのに』
『人間は愚かだから』
少しだけ居心地が悪くなって、少女は口を噤んだ。

