あやかし神社へようお参りです。②



 様子を窺っていたすねこすりや豆狸、おとら狐が、少女のまわりに集まり始める。少女は怖がるそぶりもなく、優しい顔で手を差しだした。


 「ここは妖が多いのね」

 『お嬢さんはおもてら町のことをご存じないか』

 「えっ、あなた話せるの?」

 『おかしなことを申される。人間が喋るのだから、妖だって喋りましょうぞ』


 少し気取った顔をした猫又が、ひげをぴんと立ててそう言った。


 『おもてら町はユマツヅミさまがおわします結守の社の御膝元、人と妖がともに暮らす町』

 「ユマツヅミさま……確かこの森の麓に神社があるとか」

 『私たちをお守りくださる。この町も幾度も戦火を受けたが、我々の森は守られた』


 少女は言葉を詰まらせた。確かに少女のいた都心の方には、もう緑と言えば畑の南瓜の蔦くらいしか見当たらない。見渡す限りの焼け野原、道に生える雑草でさえも生気のない枯れ果てた色だった。

 この森はまだ生きている。肉付きの良い葉が青々と茂り、生き物が暮らしている。


 『お前もここに居ればよろしかろう』

 『そうだ。お前ならいても良い。人の子と話すのは楽しい』

 「でも私、怪我が癒えたら帰らなくちゃいけないの」


 少女は家族のことを思った。