「あっ、いた!」
少女は声を弾ませた。
以津真天はほんの気まぐれで、また今日も同じ木に休んでいた。少女の期待に応えたかったわけではないし、興味があったわけでもない。本当になんとなく同じ木にいたのだ。
少女は昨日と同じように根元に腰を下ろすと、スケッチブックを取り出してさらさらと滑らせる。小一時間ほど少女は黙ったまま鉛筆を走らせていた。あまりにも静かで、以津真天は時々うっすらと目を開けて下を見下ろしたが、少女は変わらずそこにいて熱心に何かを描いている。
さらに一時間ほど経って、日が天頂に届いた頃に、うんと大きく伸びをする。以津真天の傍らでひそひそと様子を窺っていた小鬼がその頭にがひょんと飛び乗る。少女は驚いたように「ひゃあっ」と声をあげ目を瞬かせた。
おさげにぶら下がって遊ぶ小鬼に、少女はくすくすと笑い声をあげる。それをみた他の小鬼たちも、我先にとばかりに少女の肩や頭に飛び乗った。

