先日、鎌鼬の軟膏を届けたときの会話を思い出す。
『お爺さんこういうのに詳しいんだ』
『いえ、これは教えてもらったんです』
『誰に?』
『それが、顔はしっかりと覚えていないのですが、巫女さまよりも少し年上の少女です』
へえ、と目を丸くすると、かげぬいは苦笑いを浮かべる。
『私はその少女をあそこで待っているんですが、なぜ待っているのかが思い出せなくて。何か約束をしたような、していないような』
年寄りというのは厄介ですな、と影縫いは笑う。
私よりも少し年上となると、高校生以上ということだ。詩子に年上の知り合いがいないか聞いてみれば、何か手掛かりになることが分かるかもしれない。
そう思って、詩子におもてら町に住む高校生以上の女の子について尋ねてみたが、いまいちピンとくる人はいなかった。
野いちごを取れる場所を知っていて、なおかつかげぬいとも知り合いだということは、裏山によく登る人というわけだ。となると、おもてら町の住人ではないのかと思ったのだけれど、どうやらそれは的外れだったらしい。

