「じゃあねおじいちゃん!」
「絶対ここにいてよ、夜食たべたら直ぐに戻ってくるから!」
かげぬいに向かって大きく手を振った子どもたちは、ばたばたと社務所を出ていく。
時刻は十二時を少し過ぎたところで、人の世界で言えばお昼時だ。ご飯を食べたら戻ってくるからここにいて、と何度も念を押しながら帰って行く。すっかり子どもたちの人気者になったようだ。
巫女さまもまたね、と手を振ってくれる子どもたちに返事をしながら、沸かしていたお湯を急須に注いだ。参拝者の妖から貰った茶葉だ。緑茶の良い香りが広がる。
「すっかり人気者ですね」
湯飲みを差し出しながらそう言えば、かげぬいは恥ずかしそうに首の後ろを擦った。
「遊んでくれる大人が珍しいのでしょう」
謙遜するかげぬいのとなりに腰を下ろして私も淹れたてのお茶を啜る。ふうと息を吐いてから「あ、そうだ」と声をあげた。
「お爺さんが待ってる“誰かさん”のこと、友達にも聞いてみたんだけれど、いまいち情報が集まらなくって……」

