子どもたちがわらべ歌を歌っている声が漏れている。社務所の戸を開けて中へ入った。
「巫女さまーっ、河童がぼくのめんこ取った!」
「違うもん、これ俺のだもん!」
中へ入るなり一目散にかけてきたのは妖狐と河童の子どもだ。僕のめんこを取った取ってないと言い合っている。
丸い型紙に人の顔の絵が描かれた“めんこ”という玩具が、今は流行っているらしい。床に並べためんこを投げためんこでひっくり返したり、その下にもぐらせたりする遊びだ。何度か誘われてやってみたことがあるけれど、難しくって今ではもっぱら観客だ。
ふたりを仲裁するように間に割って入ると、目線を合わせるためにその場にしゃがむ。
「何があったの?」
そう尋ねた途端早口でまくし立てるふたりにあたふたする。すると後ろに立っていたかげぬいが、私の肩越しにふたりの手元を覗き込んだ。
「ほお、懐かしいですな。私も随分と昔に遊びましたよ」
貸してみなさい、と手を差しだしたかげぬいは、子どもたちからそれを受け取るとふたりの背中を押して小上がりへ上がる。他の子どもたちも興味津々にかげぬいの周りを囲んだ。

