社へ帰ってくると、先に戻っていたみくりが念を押すように「みいと村松!」と言ってから、いつもの定位置である本殿前の台に飛び乗った。もう、と笑いながらも一つ頷く。
ふくりも元気がないみたいだし、好きなものを食べて元気になって貰おう。
明日の放課後に稲荷コロッケを買って帰ることに決めて、急ぎ足で自宅へ向かった。
「ただいま」と中へ入ると、おだしのいい匂いがふわりと漂ってきて頬を緩めた。小走りで台所へ向かうと、袖をたすき掛けにした三門さんが台所に立っている。「おかえり」とお玉を持ったまま振り返った。
「以津真天とは無事に会えた?」
「はい。たくさんお礼を言ってました」
三門さんはそっかそっか、と目を弓なりにする。腕まくりをして手を洗うと、三門さんの隣に立った。小葱と包丁が出ていたので、みじん切りにしていく。
「そういえば、以津真天ってどういう妖なんですか?」
「ん? そうだね、簡単に言うと鳥の妖だよ。戦後の飢餓とかで亡くなってしまった人の死体のそばで、『死体をいつまでこのままにしておくんだ』という意味で「いつまで、いつまで」って鳴くから、以津真天という名前になったらしいよ」
死体、という言葉に思わず顔を強張らせる。

