あやかし神社へようお参りです。②




 「この木の上から以津真天の匂いがするぞ。呼んでみろ」


 顎で指したみくり。ふくりもひとつ頷く。

 すっと息を吸い込んで「お爺さん、以津真天のお爺さん! いますか!」と叫んだ。がさがさと木が揺れて、私たちは木のてっぺんの方を見上げた。


 「こんにちは、結守の巫女さま」


 そんな声が聞こえたのは、思っていたよりもずっと低い所からだった。目線を木のてっぺんから根元に下げると、木の幹からかげぬいがひょこっと顔をだした。


 「もう年ですから、木の上では落ち着いて眠れないんですよ」


 私たちが上を見上げていたのを見ていたらしい。にっこりと微笑んだかげぬいに、顔を赤くする。


 「それで、どういった御用件でしょうか」

 「あ、三門さんから預かってるものがあるの。昨日、結局社務所に来なかったでしょう? だから三門さんにお爺さんのこと話したの。それで用意してくれたんだと思う」


 そう言って上着のポケットに入れていた貝殻をかげぬいに差し出す。それが何だか知っていたのか、かげぬいは慣れた手つきで紐を外して蓋を開けた。