「お前のせいでえらい目に遭ったわ!」
「何を。喧嘩を売ってきたのはみくりだろうに」
数分後、私たちは裏山の頂上へ続く山道を歩いていた。先導するふくりが綺麗に整えられている道を選んでくれているのか、砂利道が続いている。ふくりのあとに続くみくりは、未だにぶつぶつと文句を言っていた。なんだかんだ言いながらもついてきているものから、可愛げがある。
「おい麻! にやにやするな鬱陶しいっ。帰ってもいいのかっ」
私の方まで火の粉が飛んできて、苦笑いで肩を竦めた。別にふくりが案内してくれるからみくりが帰っても問題ないのだけれど、それを言うと拗ねてしまうので慌てて「一緒に行って」と頼む。
聞けば、以津真天は寝床を定めたりすることのない妖らしく、いつも同じ場所にいるとは限らないのだとか。だから鼻の利く二匹に案内してもらうように、三門さんは行ったみたいだ。
そんな感じで、ふたりと話しながら山道をニ十分近く登ったところで、二匹はピタリと足を止めた。
丸い葉っぱが生い茂った大きな木が目の前にそびえたつ。

