「なに、ちょっと呪を受けてしまっただけで、たいした怪我では」
「嘘を吐け。やけどのように腫れあがっておったわ」
眉間に皺を寄せてかげぬいの前に膝を付いた。手を差しだすと、観念したように苦笑いを浮かべて手を差しだす。
綺麗な白い羽の一部に血が乾いてしまったような跡が見え、思わず顔を顰めた。
「痛い……?」
「心配には及びません。もともと、この羽はもう使い物にならないのです。年老いてしまったこの身では、空を満足に飛ぶこともできない」
かげぬいは私の手をそっと解くと袖の中に隠してしまった。「でも」と口ごもると、かげぬいは小さく首をふる。その笑顔にそれ以上は何も言えなくなってしまい、目を伏せた。
空気をかえるように円禾丸が「そう言えば麻は何をしていたんだ?」と尋ねる。そこでハッと立ち上がった。
三門さんから、妖たちを社務所へ呼んでくるように頼まれていたのだ。
「私、もう行くね。お爺さんもあとで社務所へ来て。ご飯作ってるから」
「ありがとうございます、巫女さま」
丁寧に頭を下げたかげぬい。円禾丸が「それでは最後に」と呟いてまた私の頬を引っ張ってきたので、小さくため息を零した。

