そのうち、自分は人を愛せない、それこそ病気なんだって…


そう理解して、ほぼ恋愛を諦めていたんだ。


それなのに、俺は、柊から聞く度に、なぜか、間宮柚葉と言う、会ったこともない女性に興味を持ってしまっていた。


柚葉の話に、妙に惹き付けられたんだ。


柚葉を知って数ヶ月した頃、俺は、以前もらってた2人の写真を手に取った。


ずっと、引き出しの中にしまってあった写真。


俺は…


それを半分に切って、柊の方は封筒にしまい、柚葉が写る方だけを、部屋の壁にあるコルクボードに貼り付けた。


不思議で仕方なかった。


もう、人を好きになることなんて、一生ないと思ってたのに…


写真の中の柚葉の笑顔にドキドキした。


時には、心が痛くなったり、苦しかったり…


まだ見ぬ彼女への想いが…


日に日に募っていったんだ。


そうやって、僕は…


柊を裏切っていった…