慌ただしい週末も終わり、私は店を出た。


(疲れたな・・・。)


生活環境が一変してから、はや1ヶ月。主婦もそれなりに大変なんだよ、と思ってたけど、外で働くのは、やっぱり違う。肉体的にも精神的にも疲れ方が違う。


週勤5日、それも立ち仕事。溜まった疲れはピークに達しつつある。


(やっぱり若くはないよね・・・。)


そう内心苦笑い。モテるとか恋愛しろとか、周りはうるさいけど、身体は正直だ。


(お夕飯、どうしようかな?)


贅沢は敵、そう戒めて、自炊して来たけど、今日は、ちょっとやる気がしない。明日は休日なんだけど、次男からメールが入ってて、今夜は来ないとのこと。


1人なら今日はサボっちゃおうかな・・・帰りにほか弁でも買って帰るか、そんなことを考えながら、家路に着いた。すると


「成川。」


と呼び掛けられた。えっ?って思って、その方向を見ると・・・。


「よう、久しぶり。」


そこには、笑顔をたたえた夫・・・じゃなくて隆司さんの姿が。声でまさかとは思ったけど、実際に姿を目にして、正直戸惑う。


「うん・・・元気だった?」


「ああ、お陰さんで。成川も頑張ってるみたいだな。」


「・・・。」


どんな表情をすればいいか、わからなくて、顔がこわばっているのが、自分でもよくわかる。でも実は、ひと月ぶりに見る隆司さんに内心ドキドキしてしまっているのは、絶対ナイショだ・・・。


「ど、どうしたの?こんな所で。」


とりあえず、そう聞いて見る。すると


「成川に会いに来た、話があるから。」


と言う隆司さんに驚く。


「よかったら、一緒に食事でもどう?」


「えっ、でも・・・。」


突然の再会に戸惑っているところに、食事のお誘いまで受けて、いよいよ困惑する。


「迷惑か?」


ちょっと寂しそうな表情になって、聞いて来る隆司さん。


「そんなことないよ。」


慌てて、私は首を振った。