実家での時間は、穏やか過ぎるくらい穏やかだった。だけど・・・そこに、私の居場所はなかった。


せっかく娘が帰って来たんだから、少し楽しようか・・・なんて発想は母には全くないようで、今日も甲斐甲斐しく夫である父の世話を焼き、怠りなく家事をこなしている。


父と母だって、何十年も一緒に暮らして来たんだ。いろいろなことがあったに違いない。ケンカだって、きっといっぱいしただろう。


でも振り返ってみると、穏やかで平和な家庭であり、両親だったという印象しかない。


私を含む4人の子供を育て上げ、今また、仲睦まじく2人寄り添い暮らしている両親の姿こそ、私が思い描いていた夫婦の姿だった。


私達もそうなりたい、夫となら、絶対にそうなれる。そう思って来たはずだったのに・・・。


久しぶりに昔の友人にも、何人か会った。当時としても、私の結婚は早い方だったから、まだ子育て真っ最中の友達も多い。


愚痴を聞かされたり、先輩として、アドバイスを求められたりして、偉そうに答えたりしたが、実はそんな立場じゃないんだよなぁ、なんて内心、忸怩たる思いもした。


優雅に実家に1週間も単身で滞在なんて、子育て終わった人は、余裕があって羨ましいね、なんて言われてしまうと、まさかお互いの不倫で離婚の危機なんだよなんて、言えるわけもない。


もっとも、勘のいい子は、普通じゃないなとは思ったみたいだけど、それを問いただしてくるようなことはなかった。


こうして1週間という時間は、段々と過ぎて行く。