食事を済ませ、今度はたまってしまった洗濯を片付けようと、洗濯機に向かうが、夫の洗濯物に手が出ない。


ワイシャツもハンカチも洗って、アイロンかけないと、夫が明日から会社に行くのに困る。そんなこと、長年主婦やってて、分かり切ってるけど、どうしても身体が動かない。


仕方なく、自分と次男の分から洗濯機を回していると、家電が鳴り出した。今時、こんな時間に家電なんてセールスかな、なんて思いながら出ると


『もしもし、俺だけど。』


「正司。」


家を離れてる長男からだ。


『今、昼休みだから、報告する。清司、俺の所に来てるから、心配しなくて大丈夫。』


「そう、ならよかった。」


『しばらく、俺んちから通うからって。まぁ着換えは取りに帰るだろうけど。』


「わかった。」


そして流れる一瞬の沈黙。


「あの、正司・・・。」


『いいよ、清司から全部聞いた。今更、もう母さんの口から、何も聞きたくないよ。』


「ゴメン・・・。」


冷たい声を出す長男に、私は謝ることしか出来ない。


『まぁ仕方ねぇよ、起きちまったことは。もうどうしようもねぇ。』


「・・・。」


『俺達が口を挟む話でもない。2人でよく話し合いなよ。』


「・・・うん。」


『俺達ももう子供じゃない、別に親の庇護がなきゃ、生きていけない歳でもない。だから、俺達のことや世間体なんか気にしないで、お互い納得出来るまでとことん話し合って、結論出せるようにすればいいよ。』


「・・・。」


『俺達はそれを受け入れるだけだし。2人がどうしようと、どうなろうと、俺達にとっちゃ、たった2人しかいない親だから。じゃ。』


そう言うと、長男は電話を切った。


(正司・・・。)


いつの間にか、立派な口をきくようになって。これじゃ、どっちが親かわからないよ・・・。


でも、まさしく長男の言う通り。これは私達が仕出かしたこと。私達が自分達で決着を付けるしかないんだ。