夫が出て行った後、1人家に残された私。それはいつものことなのはずなのだが、今は言いようのない寂しさが、私に迫って来ていた。


その寂しさに耐えられず、再び涙を流す。こんなに泣いても涙って、枯れないんだ・・・。


思えば、昨日の昼から、ほとんどまともなものを口にしていない。なのに、今は食物はおろか、水分さえ、全く欲しない。


何もする気力も起きず、時間だけが無為に過ぎて行く。しかし、私はただ泣くことしか出来なかった。


もう消えて無くなりたかった。だけど、それはあまりにも卑怯だ。


今晩、キチンと話をしよう。夫はそう言って、出掛けて行った。私はその言葉に応えなければならない。


と言っても、私から夫に言うことはもうない。私が過ちを犯した経緯、当時の心境、そして今の自分の思い・・・話すべきことは、全て話したつもりだ。


それに対して、夫がどのような裁きを私に言い渡すのか。それに対して、私が否応を言う資格などない。


今の私に出来ることは、ただ夫の心のままに、全てを受け入れる覚悟を決める、ただそれだけ。


ようやく、そう思い定めた私は、ヨロヨロと立ち上がった。いつの間にか、日が西に傾いていることに驚いた私は、夫の帰りを待つ為の準備を始める。


今夜は、夫が、そして次男がその準備を受け入れてくれることを祈りながら。