やって来たのは駐車場。見覚えのあるクルマの前に連れて来られた私は、乗るように促され、仕方なく助手席に乗り込む。
運転席に座った男がクルマをスタートさせようとするから
「お願いです。話があるなら、ここでして下さい。」
こうやって2人でいるのも怪しいが、さっきのような公共の場やドライブ中の姿を見られるよりは、マシだと思って、私は懇願するように言う。
「わかった。」
頷いた男はまた話し始める。
「だが・・・お前は翌日、突然俺に退職届を突き付けて来た。全く意味がわからなかった。そしてもう俺に話をさせる暇も与えてくれないまま、俺の前から姿を消した。」
「・・・。」
「追い掛けたかった。だが家庭に戻るお前を追い掛ける術はなかった。諦めるしかなかった・・・。そして、それから俺の人生の歯車は狂ってしまったんだ!」
そう言って、私を睨むように見る男の視線を、私は思わず外す。
「お前を忘れたくて、俺は他の女に手を出した。それがいわゆる不倫になってしまう相手ばかりになってしまったのは、不徳の致すところだったのは認める。だが、俺にはもう自分を止めることが出来なかった。寂しかった・・・。それまでは仕事があれば、他には何も要らなかった。だが、お前という魔性の女に出会ってしまってからの俺は、壊れてしまったんだ!」
「そんな、魔性の女って・・・。」
さすがに言われたい放題言われて、私は言い返そうとするが、男はなおも続ける。
「朱美、なぜ突然、俺の前から姿を消した?なぜだ!」
「それは自分が許されないことをしてたことに気付いたから。自分にとって、本当に大切なものが何か気が付いたからです!」
ようやくそう言い返した私に
「じゃ、俺を嫌いになったわけじゃないんだな?」
と詰め寄るように言う男。違う、すぐにそう言えなかった私に
「だったら責任をとれよ。」
と畳み込むように言う男の言葉が、私は突き刺さって来た。
運転席に座った男がクルマをスタートさせようとするから
「お願いです。話があるなら、ここでして下さい。」
こうやって2人でいるのも怪しいが、さっきのような公共の場やドライブ中の姿を見られるよりは、マシだと思って、私は懇願するように言う。
「わかった。」
頷いた男はまた話し始める。
「だが・・・お前は翌日、突然俺に退職届を突き付けて来た。全く意味がわからなかった。そしてもう俺に話をさせる暇も与えてくれないまま、俺の前から姿を消した。」
「・・・。」
「追い掛けたかった。だが家庭に戻るお前を追い掛ける術はなかった。諦めるしかなかった・・・。そして、それから俺の人生の歯車は狂ってしまったんだ!」
そう言って、私を睨むように見る男の視線を、私は思わず外す。
「お前を忘れたくて、俺は他の女に手を出した。それがいわゆる不倫になってしまう相手ばかりになってしまったのは、不徳の致すところだったのは認める。だが、俺にはもう自分を止めることが出来なかった。寂しかった・・・。それまでは仕事があれば、他には何も要らなかった。だが、お前という魔性の女に出会ってしまってからの俺は、壊れてしまったんだ!」
「そんな、魔性の女って・・・。」
さすがに言われたい放題言われて、私は言い返そうとするが、男はなおも続ける。
「朱美、なぜ突然、俺の前から姿を消した?なぜだ!」
「それは自分が許されないことをしてたことに気付いたから。自分にとって、本当に大切なものが何か気が付いたからです!」
ようやくそう言い返した私に
「じゃ、俺を嫌いになったわけじゃないんだな?」
と詰め寄るように言う男。違う、すぐにそう言えなかった私に
「だったら責任をとれよ。」
と畳み込むように言う男の言葉が、私は突き刺さって来た。


