「妻子と別れて、俺はもう仕事に生きようと思っていた。恋愛なんて、年齢から考えても、もう自分には縁がないと思ってた。だが、そんな時に、俺は朱美に出会った。」
「・・・。」
「初めてお前を見たその時に、俺は心ときめいた。ルックスもスタイルも声も、俺にとってはどストライクだった。その上、仕事も出来る、俺は完全にお前に、心奪われてしまったんだ。」
平日の昼下がり、私達以外の席は、ほとんどが女性同士。そんな店内で、みんなお喋りに夢中だから、私達のことを気にしてる人なんかいないだろうけど、それにしても内藤の言葉が聞こえてしまったらと、ヒヤヒヤする。
「だが朱美が人妻であることは、もちろんわかっていた。だから、その思いは懸命に心の中にしまわなければならないと思って来た。そんな時、俺達はあの日、ここで出会った。俺には運命としか思えなかった。」
「あの・・・。」
ほとんど前置きもなく、何やら語り出した内藤。その態度にも内容にも、私は戸惑い、話の腰を折ろうと声を上げるが、男は構わず続ける。
「朱美を初めてこの手に抱いた時、俺は本当に嬉しかった。もう離さない、そう誓った。そしてお前が旦那さんと別れて、俺の所に来てくれると言ってくれた時、俺はどんな制裁を受けても構わない、必ず朱美を幸せにしようと思ったんだ。」
「帰ります!」
なぜ、今更この男はこんなことを私に語り掛けて来るのだろう。私は居たたまれなくなって、そう言うと、店を飛び出した。
「待ってくれ。」
だけど、店を出てすぐ、私は男に捕まる。
「離して下さい。もうお話しすることなんかありませんから。」
「お前になくても、俺にはある。そして、お前には俺の話を聞く義務がある。」
「・・・。」
「場所を変えよう、付いて来い。」
そう言って、私の腕を掴んだまま歩き出す男。抗うことは出来なかった。
「・・・。」
「初めてお前を見たその時に、俺は心ときめいた。ルックスもスタイルも声も、俺にとってはどストライクだった。その上、仕事も出来る、俺は完全にお前に、心奪われてしまったんだ。」
平日の昼下がり、私達以外の席は、ほとんどが女性同士。そんな店内で、みんなお喋りに夢中だから、私達のことを気にしてる人なんかいないだろうけど、それにしても内藤の言葉が聞こえてしまったらと、ヒヤヒヤする。
「だが朱美が人妻であることは、もちろんわかっていた。だから、その思いは懸命に心の中にしまわなければならないと思って来た。そんな時、俺達はあの日、ここで出会った。俺には運命としか思えなかった。」
「あの・・・。」
ほとんど前置きもなく、何やら語り出した内藤。その態度にも内容にも、私は戸惑い、話の腰を折ろうと声を上げるが、男は構わず続ける。
「朱美を初めてこの手に抱いた時、俺は本当に嬉しかった。もう離さない、そう誓った。そしてお前が旦那さんと別れて、俺の所に来てくれると言ってくれた時、俺はどんな制裁を受けても構わない、必ず朱美を幸せにしようと思ったんだ。」
「帰ります!」
なぜ、今更この男はこんなことを私に語り掛けて来るのだろう。私は居たたまれなくなって、そう言うと、店を飛び出した。
「待ってくれ。」
だけど、店を出てすぐ、私は男に捕まる。
「離して下さい。もうお話しすることなんかありませんから。」
「お前になくても、俺にはある。そして、お前には俺の話を聞く義務がある。」
「・・・。」
「場所を変えよう、付いて来い。」
そう言って、私の腕を掴んだまま歩き出す男。抗うことは出来なかった。


