そして、あっという間に、家には私と隆司さんの2人きり。


このあと、お互いに話があるからと約束をしていたけど、まさかこんな急に2人だけになっちゃうなんて・・・。予想外の展開に戸惑ってしまう。


「お、お疲れ。」


「う、うん、隆司さんも。」


なに、このぎこちない会話。


「あのさ・・・。」


「あっ、とりあえず簡単に片付けちゃうから。ちょっと待ってて。」


「ああ・・・あっ、朱美。」


「えっ?」


「手伝おうか?」


「大丈夫、すぐ終わるから。」


「わかった・・・。」


急に2人きりになったからって、何今更、2人して、動揺してんだろうって、自分で思ったけど、とりあえず落ち着く時間が欲しくて、私はキッチンへ、隆司さんはリビングへ。


片付け自体は、そんなに時間は掛からない。でもその間に、私は言うべきことをもう1度、頭の中で纏めて、隆司さんの待つリビングに入る。  


「お待たせ。」


「ありがとう。」


そんな言葉を交わしながら、私達は向かい合って座る。少しの沈黙の後、私は口を開く。


「なんか、あの時みたいだね。」


「えっ?」


「離婚のこと、話し合ってた時を思い出しちゃう。」


その言葉に


「そ、そうだな。じゃ、ちょっと場所変えるか?」


と慌てたように言う隆司さんに


「ここでいい・・・ううん、ここがいい。」


そう言った私を見て


「そうか・・・わかった。」


隆司さんは頷いた。