いつの間にか9月。子供達は学校に戻り、夏の余韻が少しずつ、薄れて行く。


早いもので、今の仕事を始めてから3ヶ月。売場はもうすっかり秋バージョン。「習うより慣れろ」で鍛えられたお陰で、私ももう一人前の戦力として、店長から認められるようになっていた。


週に5日間は仕事に勤しみ、残りの2日は身の回りの家事をこなし、そして友人に会ったり、ウィンドーショッピングなんかでリフレッシュ。そんな生活サイクルがすっかり身に付いた。


そして・・・あれから隆司さんからは、何の連絡もない。私からもしていない。


彼氏彼女からもう一度やり直そう、そう言い出したのは彼の方からだった。そして始まった「プロジェクト」は、今完全にストップした。再開の見込みは・・・。


『結局、無理なんだな。』


彼は言った。それが彼の結論なんだろうか?あの言葉が「プロジェクト」の終了宣言だったんだろうか?


そうとしか考えられない、それで仕方ない。そう思ってる自分がいる。その一方で、これでいいの?ってまだ思ってしまう自分がいることも自覚している。


彼はもう完全に終わった気でいるのだろう。そして、その事実を確認するのが怖くて、私は彼に連絡出来ないでいる。


そんな中途半端な日々を過ごしている私に、渋谷さんが声を掛けて来た。


「明日、お仕事終わった後、お時間ありますか?」


「私は大丈夫だけど、渋谷さんはお子さんは?」


「夫が帰って来てるんです。」


「えっ?じゃ、私と会ってる場合じゃないじゃない。」


「大丈夫です、ちょっと遅い夏休みで。向こうも落ち着いて、今回は休みの間、ずっとこっちに居られるそうなんで。たまには息抜きして来いって。」


「そっか。じゃ、お言葉に甘えて遊んでもらおうかな。」


そう冗談混じりに答えた私に


「はい、よろしくお願いします。」


と渋谷さんも笑顔で言った。