翌朝、定時に出勤して来た渋谷さんにいきなり頭を下げられた。


「今朝は、すみませんでした。携帯、全然気が付かなくて。」


「仕方ないですよ。私の方は全然大丈夫なんで。」


笑顔で返す私に


「明日の金曜日も、出勤お願いしてるのに、本当にすみません。」


金曜日は公休日なのだが、渋谷さんが旦那さんの単身赴任先に行くとのことで、代わりに明日は出勤することになっている。


「そんな、気にしないで下さい。私はいくらでも融通きくんで。」


「本当に助かります。いろいろご迷惑をお掛けしてしまうんですが、よろしくお願いします。」


「旦那さんと会うの久しぶりって言ってましたよね。ゆっくり甘えて来て下さい。」


「ありがとうございます。でも向こうがしっちゃかめっちゃかになってるんじゃないかって、ちょっと心配で。それどころの騒ぎじゃないかもしれません。」


と苦笑いの渋谷さん。いずこの旦那も、手が掛かるのは同じか、なんてフッと思ってしまった。


渋谷さんのお休みで、責任者不在になってしまった明日の午前中は、シフトの調整が出来て、店長が早番で来てくれるということになり、こちらも一安心。


渋谷さんは、その後は普段通りにキチンと仕事をこなして、定時になると慌ただしく帰宅して行った。


それにしても、金曜日の休みが飛んでしまったことで、私は6連勤になってしまった。


代わりの休みが、来週の火曜日で、月火の連休になるのは嬉しいが、そこまで体力が持つか正直不安だな。


そして迎えた金曜日は、夏休み中と言うこともあってか、かなり混んだが、週末を控え、疲れもあったので、残業は勘弁してもらって、帰宅。夕飯を済ませ、マッタリしていると、携帯が。


見ればまた店長で、何事かと思って出ると、仕事のことではあるけど、正直そんな緊急性があるとは思えないことをグダグダと話し始める。


この調子じゃ、明日の土曜日はもっと混むだろうから、コミュニケーションの時間も取れそうもない。だから、今のうちに話したかったとの言い分はわからなくもなかったけど、結局なんだかんだ20分以上付き合わされてしまい、さすがにウンザリさせられた。