夏休みに入り、親子連れのお客さんが、午前中から来店される姿が増えて来た。


それは、食品スーパーでも経験して、わかっていたんだけど、友人同士で来店する中高生、特に女子が増えたのが、スーパーとの大きな違い。


自分と同年代より上、あるいはチャイルドの服については、ある程度、接客が出来ても、ヤングはわからない。


私の息子2人も、ある程度の時期から私の見立てた服になんて、文句しか言わなくなったし、ましてファッションに男子以上に拘りの強い女子となると、ちょっと手に負えない。


私も昔は女子高生だった、なんて言ってもどうにもなるもんじゃない。ここらへんは、これから勉強していかないと。


だから、その世代のお客さんに声を掛けられると、情けないことに、すぐに先輩に助けを求めてしまう。


「成川さんにも、弱点がありましたね。」


と渋谷さんは、助け舟を出してくれるけど


「新入りのくせに、出しゃばって、結局何にもわかってないんじゃない。」


なんて言って来る先輩もいる。気にしないようにはしてるけど、やっぱり悔しい。負けないで、やっていかないと。


そんな中、渋谷さんの様子が何かおかしいように、見受けられるのが気掛かり。仕事の合間にちょっと考え事をしたり、心ここにあらずみたいな雰囲気の時がある。


「大丈夫ですか?」


たまりかねて、声を掛けてみると


「あっ、すいません。」


とすぐに笑顔になるのだけど。社員不在時間の責任者になったプレッシャーなのか、それとも家で1人で留守番している下のお子さんのことが心配なんだろうか?


「そんなに、ボーとしてますか?責任者代行がそれじゃいけませんよね、気をつけます。」


そう言った後の渋谷さんは、もういつも彼女だから、あんまり心配するのも、彼女には迷惑かな。誰だって悩みの1つ2つあるのは、当たり前なんだから。